2012年8月17日金曜日

KPIとKGIの間にあるモヤっとした何かとマーケティング活動の評価

「まだ始まってもいねぇよ」とキッズリターンばりに誰かつぶやいてくれそうですが、最近、「冷やし中華始めました」ばりに「インバウンドマーケティング始めました」みたいなアピールをする人たちがわらわらと出てきているのが目に付き始めました。中にはインフォグラフィックを勝手に翻訳・加工するようなひどい事例もあるようで、こういったブームに乗ろうとする雨後のタケノコ、柳の下のドジョウ達にはなんだかうんざりする気持ちを感じていますが、同時に、せっせとタケノコ狩りやドジョウ掬いをしている方々には本当に頭が下がる思いです。

 余談になりますが、ほとんどログインをしなくなったTwitterに今日久しぶりにログインしてみました。当時フォローしていてメインに交流していた方々はほとんどFacebookに移ってしまったのもあって、ニュースサイトの公式アカウントとボット、あとは「フォローしたっけなぁ」という見知らぬアカウントのつぶやきがあるばかり(もちろん今も精力的に活動している方々もいらっしゃいましたが)。
なんだか、「人間が姿を消した東京、弱肉強食というルールが支配する動物たちが支配していた」なんてコンセプトの「TOKYO JUNGLE」を思い出しました。すみません。


と、検索にヒットしそうなキーワードをちりばめてインバウンドマーケティングっぽいことをやりつつ、自分がメインで言いたい事を続けさせていただきます。

マーケティング活動をする上で、どのような組織、サービス、業態でも効果を継続的に上げていくためには、正しくパフォーマンスを測定する事が求められます。
それを指標、数値化したのが、KPI(key performance indicator)やKGI(key goal indicator)で、多くのマーケティング担当、営業担当はここの数値を目標に近づける事を日々の活動としている訳ですが、多くのマーケティング活動の場合、このKPIとKGIには直接の関連性が無い場合が多いのが問題でした。

例えばECではない一般のWEBサイトを担当するマーケティング業務の場合、自分の担当領域のKPIであるPVやUUもしくは資料請求、問い合わせなどのCV数は定量的に把握でき、それを目標値にすることはできます。しかし、WEBサイトが最終的なKGIとなる売上目標にどう貢献し、そこからどの程度収益があがったのかを可視化する事はなかなか容易ではありません。

このマーケティング部門にとっての(一時的な)ゴールであるWEBサイトのアクセスを増やすためには様々な施策、例えばコンテンツの追加、リスティング出稿やSEO対策などを行わなければならないのですが、当然どのような施策を行うにも当然コストが発生します。行う施策によってはブログだからコストはかからない、CMSだからというケースもあると思いますが、CMSを更新する人件費やシステムの維持管理費用は当然発生します。

その掛けたコストに対してどの程度効果が上がったか、PVやUUが上がったかについては数値が指標化しやすいWebメディアであればきちんと可視化できていた領域だと思います。
「今月はリスティング広告経由でアクセスが○○伸び、資料請求が○件あった」
「新しく作ったコンテンツでPVが1人あたり○○伸びた」など。
きちんと可視化、数値化できる事で、効果的にKPIを上げるための次の分析や改善のサイクルが回すことができました。

ただ、これは「KPIとKGIの間にきちんと因果関係が成立している」限りにおいてうまく機能します。ただ、多くのマーケティング現場の場合、話は単純ではありません。よくあるケースでいうと、「単純に資料請求数を目的にすると資料請求の『質』が下がりパフォーマンスが悪化する」など、「KPIとKGIの間には何らかの因果関係があるが、KPIとKGIの間の因子Xについては測定が難しい」というようなケースがほとんどです。

もうひとつ、KPIを見るだけでは評価が難しいのは掛けたコストに関して正しい効果を得られているかという点です。例えばFacebookの「いいね」を1件増やすためのコストが「150円」だったとして、150円のいいねが最終的に売り上げにつながるまでの方程式が導き出せなければ150円が妥当かどうかという評価はできません。B2B企業などで資料請求や問い合わせから営業接点があり、ある程度ゴールまでの距離が近いレベルであれば妥当性の評価はそれほど難しくありませんが、ゴールまでの距離が遠い場合のパフォーマンスの評価は非常に難しくなります。「何らかの因果関係はあるようだが、KPIを上げるためにどの程度コストを投下するのが妥当かわからない」というケースもいろんな企業で見かける事だと思います。

KPIとKGIとの因果関係をきちんと説明できること、KPIを上げるためのコストはKGIに照らし合わせて妥当であるかを説明できること、この2点がこれまでのマーケティング活動では十分ではありませんでした。

ちょっと長くなりそうなので次回に続きます。

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