2012年9月11日火曜日

もうPV、UUを追いかけるのはやめよう。MPM(Marketing Performance Management)のススメ(3)

顧客情報の付き合わせにより顧客ごとにどの流入経路からどのコンテンツを見たのかがわかります。さらにB2B領域、直接顧客接点をのあるB2C領域の事業であればSFAや顧客管理システムと連携させることにより、その顧客に対する営業活動、サポートなどあらゆる顧客接点の情報とその顧客がどの程度売上をもたらしたかという売上情報を集約することができるようになります。

実際にはここまでシステムで統合管理するのはかなり大掛かりになりますので、レポーティングする際につきあわせできる環境を整えておくというのが現実的なラインだと思われます。
まずはここまでの情報を統合管理することで、どういった施策が十分に公開を発揮しているかを見ることができますが、次に見なければいけないものはそれぞれがどれだけの売上に関与したかという施策ごとの売上貢献の可視化です。

ただ、売上をベースに各施策の効果を評価するというのは2つの点で問題があります。1つは短期的な売上をベースに評価をするとほとんどの施策がコストパフォーマンスが悪いという評価となる。これについては顧客の短期的な収益にだけでなく、LTV全体を見て評価する必要があるということが必要です。恐らくこの点については手法も含め論を待たないと思うのでここでは詳細は語りません。

2つ目の問題は、一人の顧客が複数の施策の影響を受けて売上を上げた場合、貢献度として計上するのはどちらの施策の影響をうけたものかというものを区分する必要があります。そうしなければ貢献度の多重計上が起こり、施策の正しい評価としては難しくなります。
例えば、WEBキャンペーンで獲得した顧客がLTVで評価した場合、100万円の売上をあげそうだという時に、その顧客が別のイベントにも参加していたとき、100万円の売上はどちらにつけるの?という状況です。こうした事はこれまでマーケティング活動が部分最適で行われる中でよく見られた光景だと思います。WEBメディアで記事が書かれ、ツールベンダーや広告代理店、コンサルタント達が事例としてセミナーで紹介する類のもの(◯◯を行って100万円の売上アップ等)はほとんどこのケースではないでしょうか。
※キャンペーンの効果測定というアプローチでなく、WEB解析のような領域であれば、どちらの施策にも100万円の売上関与があると評価するアプローチもあるかもしれませんが。

で、実際は売上が上がった顧客に対して、ほとんどの場合2つ以上の施策・キャンペーンが影響しているので、多重計上を行わないためにいくつかのアプローチが考えられます。

(1)最初に接触したキャンペーン、もしくは最後に接触したキャンペーンなど自動的に判別して最も影響のあったキャンペーンを決めてしまう。
(2)上記の応用になるが、自動ロジックに加え、最も貢献したキャンペーンについてマニュアルで指定する方法。Salesforceのマーケティング機能などは「主キャンペーン」という機能をこの考え方で提供している。
(3)単純にその顧客の売上(LTV)をすべての顧客接点で均等分配する
(4)(1)の考え方を発展させ、あらかじめ分配率を決めておき、「最初の接点は30%、最後の接点は40%、あとの30%はすべての中間接点で分配する」みたいな分配とする。
※Google Analyticsのキャンペーンアトリビューションの中でもこういったロジックが取り入れられているようです。

いずれの方法も一長一短があり、ケースに応じて最適な手法を選べばいいのですが、今回このコンテンツで訴えたいMPM(Marketing Performance Management)では各施策の貢献度について統計学的なアプローチで貢献度を分配する考えを取り入れたいと思っています。各施策が成約やLTVのアップにどの程度関与したかという情報は全て一元化されたDBに格納されていると考えたとき、それぞれの施策とゴール指標に対して「接点があったが達成しなかった顧客」「接点がありゴール指標を達成した顧客」と、2種類存在することになります。そう言った形で一つの指標に対して施策ごとの相関係数を取得していくことで、「売上貢献の高い施策」と接点は多くても達成顧客の少ない「売上貢献の低い施策」がわかる事になります。

あとは、1顧客が接点を持った全ての施策を達成したゴール(この場合は一定期間で区切ったLTV)で按分するすることで売上貢献に応じて正しく配分できることになります。
じゃあ、施策単体でROIを評価する場合はどうしたらいいの?という時はその施策に接点をもった顧客ごとのLTVを全て足したもの、それがその施策全体の売上貢献となります。

0 件のコメント:

コメントを投稿